1989年、全米12位とさり気にSTARSHIP時代では5指に入るヒットを記録した、表題3rdアルバムから2つ目、STARSHIP名義通算10thシングル。前作収録の6thシングル"It's Not Over~"に対応したようなタイトルですね。変化に富んだメロディ特にちょっぴり哀愁を帯びたサビメロに、デジタル感控え目なゆったりリズムの成熟したサウンド。いやもうそれだけで"充分"じゃないですか。
アイドル的人気が爆発した80年代からキャリアを重ねて幾年月。’12年に目出度くデビュー40周年の節目を迎えたオーストラリア出身のシンガー/ソングライター、リック・スプリングフィールドがアニバーサリー・イヤーを祝うべく発表した18thアルバム。 リックというと、エレクトロなKeyを生かしたニューウェーブ風ロック・サウンドの印象が強いですが、前作『VENUS IN OVERDRIVE』(’10年)がアメリカにおいて久々にヒット作となり、ノリにノッている状態で制作されたと思ぼしき本作においては、(ご本人の「ギター・オリエンテッドな作風を目指した」との発言が裏付ける通り)、Key類は控えめに、よりハード・ロッキンなエッジを効かせたサウンドを披露。それでいてメロディには胸を打つフックが絶妙に盛り込まれており、単に大味かつ攻撃的な作風に陥っていない辺りにはベテランの技前がキラリと光ります。 ハジけるような爽快感を伴ってエネルギッシュに疾走するOPナンバー①、その勢いを受け継ぐ②、参集したファンの大合唱がフィーチュアされているアンセミックな③、円熟味を重ねつつ老け込みとも無縁のリックのVoが映える哀愁を帯びた④⑤…と、1曲目から聴き所満載の逸曲が惜しみなく連打されるアルバム前半はとりわけテンションが高く、中でも胸キュンを誘われるメロディがキャッチーに弾むハードポップ⑧は「RICK ‘N ROLL」の魅力を体現したかの如き名曲に仕上がっていますよ。 ポジティブに本編を締め括るラスト・ナンバー⑫まで隙の見当たらない本作にあえて弱点を探すなら「それはどうなの?」というジャケットぐらいのものじゃないでしょうか。
ぶっ飛んでてスリリングなぐちゃどろハード・ロックです。発表当時は、かなり怖い音楽だったろうなー。 1曲目をJUDAS PRIESTがカヴァーしていたので興味を持ったのですが、原曲の方が狂っててヤバいですね。 (2)「The Sad Saga of the Boy and the Bee」は、「Child in Time」の元ネタじゃないですか? (4)「Yellow Cab Man」も「We Will Rock You」の元ネタ? 実はブリティッシュ・ハード・ロックの重要な源流となっているアルバムなんじゃなかろーか。 まあ、57年も後に初めて聴いている身としては、当時どれほど影響力があったのかはわかりませんが。 いま聴いてもゾクゾクさせられる、ハードでヘヴィな音楽です。かっこいい。
主力メンバーが次々と脱退していく窮地にあって、若き実力派ミッキー・トーマス(Vo)、元JOURNEYの豪腕エインズレー・ダンバー(Ds)といった新たなタレントを補充することで息を吹き返したJEFFERSON STASHIPが、81年に発表した6thアルバム。 前作『FREEDOM AT POINT ZERO』(’80年)は、そんな彼らがHR路線に開き直って放った快作であり、個人的に数あるJEFFERSON STASHIPのカタログの中でも最も愛して止まない名盤の一つなのですが、その成功の勢いを駆って再びロン・ネヴィソンをプロデューサーに起用。同じラインナップを保ってレコーディングが行われている本作もまた、更にメロディアスHR路線に踏み込んだ仕上がりとなっています。 何しろバラードすら見当たらないという徹底ぶりで、煌びやかなシンセが映える①、次作でバンドに復帰を果たすグレース・スリックがゲストVoとして華を添える②、ライブで盛り上がること請け合いの③…と、張りのあるミッキーのハイトーンVo、一打一打が重たいエインズレーのヘヴィ・ヒッティングはこうした作風にマッチ。クレイグ・チャキーソのGも負けじとホットな弾きまくりを披露してくれていて、日本の歌謡曲ばりの哀愁を纏ってハードに駆け抜けていく④と、“ALIEN”のタイトル通り重厚かつスペーシーな雰囲気漂わすドラマティックな⑧は、特に感銘を受けた本編ハイライト級の名曲ですよ。 セールス的にも評価的にも振るわなかったものの、個人的には前作と共にHR/HMリスナー向けJEFFERSON STASHIP入門盤にお薦めしたい名盤。もじもじクンのコスプレみたいな恰好の女性が映り込むジャケットだけ見ると、とてもそうは思えないかもしれませんが…。