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Schizophrenia / SEPULTURA
火薬バカ一代 ★★★ (2025-03-31 23:56:03)
マックス(Vo、G)とイゴール(Ds)のカヴァレラ兄弟が立ち上げたリ・レコーディング・プロジェクトCAVALERAによりリメイクされたことを切っ掛けに、久し振りに引っ張り出して聴き直しているSEPULTURAが’87年に発表した2ndフル・アルバム。
サウンドはイーヴル極まりなかったものの、演奏とプロダクションは小僧感ダダ漏れで、世のスラッシャー諸兄が「これを楽しめるのは俺だけに違いない」とニンマリこっそり愛でるタイプの作品だった1stに対し、鬼神の如くリフを刻んだかと思えば、一転してアコギを爪弾き、メロディアスな速弾きまでこなしてみせる技巧派アンドレアス・キッサー(G)が加わった本作は、彼の存在に触発されたかのように、演奏の切れ味から、工夫を凝らしたアレンジ/リズム・チェンジを随所に仕込んだ曲展開のダイナミズムに至るまで、あらゆる点において各段のレベルアップを果たした仕上がりとなっています。例えば攻撃性だけでなくインテリジェンスの迸りも感じさせる7分越えのインスト・ナンバー⑦なんて、このラインナップでなければ生み出し得なかった名曲ではないかと。
まぁ相変わらず音は悪い。体育館のステージで熱演を繰り広げるバンドの演奏を建物の外から聴いているような感覚に陥ることもしばしばですが、『13日の金曜日』風味のイントロ①から雰囲気を一転させて爆発的攻勢に転じる②、イゴールのDsを軸に暴風の如く吹き荒ぶ⑨といったスラッシュ・ソングの数々は、そうしたプロダクションの粗雑さを差し引いて尚「え、こんなに?」というぐらいお釣りが貰えるカッコ良さを誇っていますよ。
後のSEPULTURAの飛躍を予感させるのに十分な力作じゃないでしょうか。

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