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When Angels Kill / FIFTH ANGEL
火薬バカ一代 ★★★ (2025-04-23 23:43:22)
何度目かの復活を果たしたFIFTH ANGELが'23年に発表した通算4作目となるアルバム。
欧州風味の湿り気と優美さを兼ね備えたアメリカ産らしからぬ正統派HMサウンドが魅力のFIFTH ANGELでしたが、本作を聴いてビックリ。70分に及ぶ長尺を以て語られる重厚長大なコンセプト、青筋立ててパワフルに歌うVo、トリプルG編成で刻む金属的光沢を放つリフと、渡り鳥稼業のイメージとは裏腹にこのバンドでは中心的役割を担うケン・メアリー(Ds)の叩き出す屈強なリズム…と、より攻撃的に鍛え上げられたパワーメタル・サウンドは、まるで往年のSHRAPNELメタルの如し。懐かしや嘗てDOFKAを率いていたジム・ドフカのテクニカルに炸裂するGソロもそうした印象に拍車を掛けていて、考えてみりゃFIFTH ANGELは元々SHRAPNEL RECORDS所属だったので一周回って元の位置に戻ったと言えなくもないですが、それにしたってコーヒーが美味しいと評判だった隠れ家的喫茶店に数年ぶりに足を運んでみたら、いつの間にかコッテリ焼肉丼食わせてくれるドンブリ屋に転身していた…みたいな驚きを味わいましたよ。
そんなわけで初期2作とはだいぶ趣きの異なる仕上がりとなった本作なれど、衝撃から立ち直ってしまえば「多少脂っこいけど旨いもんは旨いからまぁいいか」と。収録曲にはいずれも欧風メロディと劇的な曲展開という往時の魅力がしっかりと息衝いていますし、特に雄々しい高揚感を伴って疾走する⑧はFIFTH ANGELの新たな魅力が開眼した名曲。
「テッド・パイロットもジェイムズ・バードもいないんじゃ期待出来そうにねえなぁ」とかボヤいていたことをバンドに謝りたくなる力作です。

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