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Winter Rose / WINTER ROSE
火薬バカ一代 ★★ (2025-06-19 00:39:23)
ジェイムズ・ラブリエがDREAEM THEATER加入前に在籍していたWINTER ROSE。本作は彼らが’88年頃に制作するも、結局レコード契約を獲得できずお蔵入りしてしまっていた幻の1stアルバムで、DREAM THEATER人気が爆発的に高まった'97年に、当時CD化大国としてブイブイ言わせてた日本でオフィシャル商品化されリリースが実現しています。
元はデモ音源ながら、リイシューにあたってはリーダーのリチャード・キーチ(G)が一部楽器の録り直しやリミックス作業をきっちり行っているだけあって、作品としてのクオリティはどこに出しても恥ずかしくない立派なもの。LAメタル風あり、パワー・バラードあり、シングル・ヒットが狙えそうなポップ・メタルあり…といった具合に、新人バンドのデビュー作らしく「あれもしたい」「これもしたい」「もっともっとしたい」(by THE BLUE HEARTS)と、やりたいことを手当たり次第に詰め込んだ欲張りセットな仕上がりの本編にDREAM THEATER的プログレ色は皆無ですが、ラブリエの歌唱力は既にこの時点で傑出。何より現在の彼じゃまず歌ってくれそうにないタイプの楽曲を全力投球で歌い上げる様が微笑ましいじゃありませんか。収録曲に関してはぶっちゃけバンドとしての個性は今一つ見えてこないものの、溌剌とキャッチーなコーラス・ワークが印象的な②と、ラストを爽やかに締め括る⑩というもろにBON JOVIの線を狙ったと思しき2曲のクオリティは頭一つ抜きん出ていて、個人的にはこの路線を追求したアルバムが聴いてみたかったなぁ、とも。
何はともあれお宝音源発掘に感謝しかない1枚。ラブリエも再発を後押ししたというエピソードが、彼にとっても本作が誇るべき過去であることが伺え他人事ながら嬉しくなりますね。

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